「占い」という話
divination
命・卜・相
占いには、命・卜・相(めい・ぼく・そう)の三種類があります。
というか、三種類しかありません。
命術
命は命数を数える術=数学です。
数学は、問題を解くのに便利です。日常のさまざまなものに応用されていますが、数学を身近に感じられないのは、解かれた〈解〉を使っているからです。
数学がなければ、正確な時刻を知ることさえままなりません。GPSも使えず、迷子になります。
命術は、四柱推命や占星術が有名ですね。西洋占星術(ホロスコープ)もこちらです。
天文学的な命術ですが、純粋に数学です。生年月日など決められた条件から〈解〉をみちびきだしますから、答えは最初から決まっています。二度占っても同じ結果しかえられません。
ただし、新しい公式(定理)が発見されたら、答えも変わります。
たとえば、古典物理学のニュートン力学から、アルベルト・アインシュタインの相対性理論に変われば、光の動きも変化します。量子物理学で、ようやく光が何か見えてきます。
最近はコンピュータで計算していますが、やっと相対性理論レベルになっただけで、不確定性原理に代表される量子力学まで到達していません。はっきり言って100年遅れています。だからこそ、今後飛躍的に解明されることでしょう。その時にはシュレーディンガーの猫がマスコットになるでしょうね。#joke
占い師が数学を学ぶより、数学者に命術を学んでもらったほうが速いです。#joke
「宿命と運命を混同するのは愚かだ。宿命は避けられないけど、運命は変えられる」
——『コバート・アフェア』〈シーズン3〉第6話「危ない説得工作」HELLO STRANGER(2012年)“Only a fool confuses fate with destiny. Fate is what happens to us. Destiny is what we make in spite of our fate.”
Covert Affairs 3-6
卜術
卜は世界を観測する術=天気予報です。
雨に濡れないようにする=困難にあわないようにするにはどうしたらよいか、雨(困難)にあってしまったときにどうすべきかを知るのに適しています。危機管理ですね。
世界を適切に観測することができたなら、占わなくても〈解〉を知ることができます。
卜術は、周易やタロット占いが有名です。
卜術は観測者によって〈解〉がかなり変わります。これは証拠資料(エビデンス)を適切に使っているかどうかが問題となるからです。
(1)証拠資料に頼らず、自分でも考える
(2)関係のない証拠資料や、間違った証拠資料を使わない
(3)結論しか書いていない証拠資料は使わない(根拠が不明、もしくは希薄だから)
——瀧本哲史『武器としての決断思考』(星海社、2011年)P196
問題の解決には、反論するしかありません。
(1)資料の拡大解釈→(1)それ言い過ぎ
(2)想定状況のズレ→(2)それは違うでしょ
(3)出典の不備――→(3)元から違うでしょ
(4)無根拠な資料―→(4)真っ赤な嘘
——瀧本哲史『武器としての決断思考』(星海社、2011年)P209
ただし、卜術によって〈解〉をえられたとしても、それは「いまの最善解」でしかありません。100%の〈解〉を選ぶことこそ高慢(プライド、七つの大罪の一つ)だからです。
今後は、「第三の視点」を使った卜術が主流となるでしょう。
cf.
【「第三の視点」による倒叙記述】リスト
相術
相は現状をはかる術=測量です。
いま住んでいるところの傾き=人生の歪みを知ることができます。
歪みを知ったからといって、ただちに修正できるものは少なく、根本的に基礎から変更しなくてはならないことがままあります。
手相占い、人相占い、風水などが有名です。
卜術の観測者と同じように、相術の測量者がどこに基準をおいているかで〈解〉がかなり左右されます。
測量者によって得意分野が異なり、細分化しています。三種類のうちでは最も発達しています。それだけに嘘も多く、商売としては一番怪しげな部類に入ってしまいます。
たとえば、「黄色い財布で金運アップ」とかありますが、単純に目立つので忘れない盗まれにくいだけです。ただ、「新月に財布をふる」のと同じく、そこには物語があります。
たとえば「新月に財布をふる」という話があります。そんな迷信を信じるのもいいですが、財布のレシートやカードを毎月整理するということと同じです。要・不要を区別する訳です。札もきれいに並べるでしょう。種を明かせば簡単でも、そこに演出がくわわると物語になります。人は物語好きなんです。
— 門松一里 (@ichirikadomatsu) November 14, 2014
はっきり言って虚構(フィクション)=嘘なのですが、人は物語好きなんですよ。
命・卜・相
それぞれ特色がありますが、一般社会にとけこんでいるのが相術です。相術の測量は簡単なので、初心者でもすぐに実感することができます。ただし、基礎の歪みを修正するには才能や、大変な修行が必要です。
その点、卜術——特に周易は、生活そのものが修行になり大きな負担はありません。日々の鍛練なので、できるだけ負担のないように心がけることが大切です。なお、周易は東アジアの思想の基礎ですから、占い師にとっては必須科目です。
周易による易断はそれほど難しいものではありません。東アジアの思想を基礎から学べばできるものです。たとえば、普通自動車の免許で原動機付自転車が乗れるようなものですし、画家が円を描けるようなものです。易断を外すなら、根本的に思想に問題があります。#joke
命術は今後学んでいない人にはまったく理解できないぐらい発達します。それらを私たちが甘受する未来が待っています。
【参考資料】
*瀧本哲史『武器としての決断思考』(星海社、2011年)
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