「死生観」という話

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「死生観」という話
view of life and death

死に様は一瞬。生き方の切り口。

生き方や死に方についての考え方を死生観(しせいかん)といいます。

どうやって生きたらいいのかどのように死ぬのか、死と生について一度は考えたことがあるはずです。逆に言えば、考えたことがない人はいないくらいとても身近なものです。生と死は今ある状態です。

「知性ある現代人であれば一度は自殺を考えるものだ」というブラックジョークがあります。

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キリスト教では最後の審判という考え方があります。善人は天国へ、悪人は地獄へ行きます。なお、中くらいの人は中国へ行くそうです。#joke

世界の終末には、人間が復活します。そのために、復活するための肉体を保存する必要があって、火葬してしまうと復活できないので、アブラハムの宗教では厳禁です。地獄の業火で焼かれるイメージです。

一方で、輪廻(りんね)という考え方もあります。転生する訳です。
(異世界に転生したら楽しいでしょうね……。)

輪廻は人だけでなく生類(しょうるい)全般に生まれ変わります。動物だけでなく小さな虫にも生まれ変わるので、苦行・禁欲をモットーとするジャイナ教では不殺生(アヒンサー)を重んじています。

仏教でも雨期には無益な殺生をふせぐために安居(あんご)という修行があります。ふつう陰暦4月16日から7月15日まで外出せずに一室にこもります。禅宗では冬にも安居があるとか。大変です。なお、修行が終わる時が解夏(げげ)です。さだまさしの小説にもありますね。

ただし、日本では輪廻があるとしても、直接顔を合わせた人しか考えません。福沢諭吉の生まれ変わりがあるとしても、一万円紙幣でしょう。2024年度からは渋沢栄一ですが、福沢諭吉をふくめ別の機会にしましょう。

「たかだか三代前の先祖であっても、それがだれだったのかは、急速に忘却のかなたに追いやられる」
ルース・ベネディクト『菊と刀』(光文社、2013年)

日本人は身近な人の生死しか考えません。たとえば、1994年のルワンダ虐殺を知っている人がどれだけいるでしょう。2004年の映画『ホテル・ルワンダ』で知った人も多いでしょう(日本公開は2006年)。私は映画『コラテラル』で知りました。

トム・クルーズ「まばたきもしなったはずだ。デブ一人で騒ぎ立てるな」
——マイケル・マン監督『コラテラル』(2004年)

日本人は他者に対して薄情です。ヒーローになろうとしたら石を投げられる国民性ですからね。#blackjoke

古代ギリシアにも転生の思考はありました。オルフェウス教です。天上にあった魂が罪を犯し地上に落ち転生の輪に巻き込まれ、音楽や禁欲によって清められた魂だけがその輪から解き放たれ天上に帰ると信じていました。まじめに信じていたらしく、ピタゴラス派やプラトンなどにも影響を与えました。

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生と死は今ある状態ですといいましたが、どういうことでしょうか。

人間であれば常に細胞が生き死にしています。生と死が一つのものとしてある状態です。一方のバランスが壊れると、存在できなくなります。

死に方にもいろいろありますが、多細胞生物の細胞にはプログラムされて死ぬアポトーシスがあります。オタマジャクシの尻尾はアポトーシスから細胞が死んでカエルに変態します。なお、完全に死んでしまうネクローシスもあります。

死から逃れるすべはありません。「死と税金」というジョークです。死は自然のものですが、税金は私たちが考えたものです。怖いことに税金は死でも解放されません。#blackjoke

ただ、死の恐怖から解放されたときに、人間は原風景に出会います。

誰であれ、人は過(あやま)つ。例外はない。償(つぐな)えばいい。真摯(しんし)に更生する姿を笑う者は、力なく夕闇に立つ少年に出会うだろう。原風景だ。憂いの瞳と、和らいだ笑み。
https://twitter.com/ichirikadomatsu/status/1213310354341556224

誰であっても過ちを犯します。例外はありません。でも、償えばいいのです。自分の原風景に出会わない人は、自分の亡霊におびえることになります。

憂いの瞳と、和らいだ笑みは、先憂後楽です。范仲淹は別の機会にしましょう。

その原風景が人生の原点になります。失敗してもいつでもどこでもそこからやり直せます。ゲームでいうセーブポイントです。ただ、何度やり直してもできないことはあります。荘子のいう物化です。

そして、物化があるなら夢現(ゆめうつつ)であったとしても生き方は一つで、そのどの箇所を切り取っても同じです。

死に様は一瞬。生き方の切り口。

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