「いき」(1)ハンカチ
門松一里のモテ論――「いき」第一回は、ハンカチです。
(収録:2017年8月27日)
【ハンカチ】
おはようございます。門松一里です。みなさん初めて、ですよね? 滅多に私、お話ししないもので……。ラッキーです。
いちおうモテ論ということで、「いき」ということをお話させていただこうかなと思っています。「いき」を漢字で書くと、米偏に卒業の卒で「粹」ですね。こちらは旧字――旧(ふる)い字で、常用(漢字)ですと米偏に九十――「粋」です。この場合の「いき」は「媚態(びたい)」で「粋(すい)」です。
cf.
九鬼周造『「いき」の構造』(岩波書店、1979年)
(笑)あーあ、眠くなったでしょう。先に結論を。倒叙(とうじょ)ですからね。
ハンカチを二枚持ちましょう。以上。
どうして二枚? それを今からお話します。
さきほど媚態(びたい)と言いましたけれど、媚は「こびる」ですね。女偏に眉(まゆ)――なまめく訳です。エロです。
「いき」の第一がエロです。みんなエロエロしたいんです。動物ですからね。でも社会性がありますから。人間ですから。そこは上品に。法律にのっとって。
さて、ハンカチ、誰でも持っていますよね? 持っている人?(手を上げる)
そこの君、持っていないとかアカンやろ。(笑)
※「アカン」とは、関西の言葉で「埒明かぬ(らちあかぬ)」の略で、不可のことです。
コレあげるから。(「いいなあ」の声)
(持っていない人の「宝物にします!」に、門松が「使え」の一言を返す)
人間ならハンカチ持ちなさい。
モテというか、身嗜み(みだしなみ)の普通は「靴」から始めるんですけれど、お金も経かりますし、ハードル高いですし(歩き方とか)、ハンカチです。(眼鏡を正しながら)
人類はどうして靴を履くようになったとか聞きたいですか? 別の機会にしましょう。
まあ、ハンカチを靴にするという手もありますけれどね。『JSA』(※)とか。
※映画。正しくは靴ではなく靴下にしていた。
さて、もう一度。(門松がもう一枚ハンカチを出す)〔原注:二回目も「さて」と表記〕
だいたい折っていますよね? 開いてみてください。
真四角(□)になりますね。でも私がすると、三角形(▽)。
はい、元に戻してください。畳んだ状態で、折先の一枚目と三枚目をつかむ。きちんとアイロンがけしてくださいね。――これだけ。別に二枚目・四枚目でもいいですよ。
誰でもできますね? 裏返らないようにするテクニックもあります。有料です。(笑)
(くるくる巻きながら)スカーフとかよく、こういうように使いますよね。上級篇です。
では、膝上においておいて(※)もらったら……。
※「おいておいて」とは、関西の言葉で「置く」の丁寧な言い方です。
食事のときとか、ナプキンがない場合、こうして使ってください。でもね、口を拭くのと、トイレで手を拭いたのとは一緒は拙(まず)いでしょう。――いや、きれいになっているので、別に一緒でもいいですけれど、心情ね。心情。
一枚はポケットに。もう一枚はバッグに。ポケットに入れ忘れたとしても、バッグにもう一枚あれば大丈夫ですよね? 必ずバッグにもう一枚。
ここ注意です。ポケットにはハンカチ以外いれちゃあダメです。
『リスボン特急』(※)で、アラン・ドロンが「胸に何か入れておけ」と言っていますが、あれ戦争の名残ですから。日本で滅多に撃たれることはありません。(笑)
※フィルム・ノワール。アラン・ドロンの敵に、リチャード・クレンナ。その女が、カトリーヌ・ドヌーヴ。
とりあえず、必ずスペアを持っておくことです。まあ、自分のスペアも、パートナーのスペアもありませんから、そこは大切にしていただいて。(笑)
ハンカチの買い方ですけれど、百貨店にあります。ないところはないです。有名ブランドでもそうそう高くないです。安物は絶対に買わないでください。菱形になりますから。アイロン手間ですよ。(笑)
とりあえずハンカチを二枚。もう日頃から使ってくださいね。
【今回のアイテム】
《ハンカチ》
〈費用〉
・一枚1,000円~3,000円ほど。安物は菱形になるので買わない。
〈ルール〉
・必ず2枚を用意する。
・一枚はポケットに。もう一枚はバッグに。
【「いき」の一言】
人間ならハンカチ持ちなさい。
【解説『オセロ』】
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『オセロ』にハンカチが登場します。七つの大罪の一つ〈嫉妬〉について解説しています。
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