「沈黙」という話-012

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「沈黙」という話-12

【十二使徒】
イエス・キリストの選ばれた十二人の弟子を特別に、十二使徒と呼びます。「12」という数字は、『旧約聖書』のイスラエルの12部族と対応しているようです。イスラエルの12部族については、別の機会にしましょう。

「12」といえば、アーサー王の12人の円卓の騎士が思い起こされるでしょう。アーサー王は5世紀後半から6世紀前半の人物です。謎の多い人物で、実在かどうかも怪しまれています。15世紀後半のトマス・マロリーの『アーサー王の死』や、19世紀のトマス・ブルフィンチの『中世騎士物語』が著名です。イギリス文学に明るいブルフィンチですが、この人、実はアメリカ人です。そういえば、押井守監督作品に映画『アヴァロン』がありましたね。

アーサー王物語に、聖杯伝説があります。磔にされたイエス・キリストを刺した聖槍(ロンギヌスの槍)と、その血を受けた聖杯の物語です。『新世紀エヴァンゲリオン』の元ネタです。

もちろん、イエス・キリストが亡くなって500年も後の話ですから、キリスト教の教義とは関係ありません。しかし、中世でみんなが夢中になってしまったのです。あまり酷いので、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが小説『ドン・キホーテ』で風刺しました。

『ドン・キホーテ』の前編が1605年出版ですから、翳りゆくスペインが風車(オランダ)に負けてしまう予想もあったかもしれません。カトリック教会のスペインの「無敵艦隊」がアルマダの海戦で、プロテスタントのイングランド王国とネーデルラント連邦共和国に負けたのが、1588年です。無敵艦隊の食料を調達していたセルバンテスは職を失います。

風車については拙著を参照してください。
『「フランダースの犬」解説――風車が燃えた秘密――』
https://www.amazon.co.jp/dp/B00B149S8E/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_nn5TybWEZXJ63

なお、世界で一番読まれている書籍は『聖書』で、二番目が『ドン・キホーテ』です。

最後の晩餐にいた十二使徒は、イエス・キリストの復活の証人です。ただし、十二使徒の表記は、四つある福音書によってゆらいでいます。

「マタイによる福音書」
「マルコによる福音書」
「ルカによる福音書」
「ヨハネによる福音書」
「使徒言行録」
※「使徒言行録」は「ルカによる福音書」の続き(とされています)ですので、合計5書あります。

また、使徒の条件もいろいろあります。聖パウロ“Saint Paul”は使徒の一人ですが、イエス・キリストが亡くなったあとから入信したので、十二使徒ではありません。

【司教・司祭・助祭】
〈司教〉
イエス・キリストの復活を信じる人たちの共同体が教会です。教会を設立した使徒たちの後継者が司教です。カトリック教会では、司教は教皇と同一です。

司教は、地域教会(教区)を治めています。その中でもローマの司教は強力な指導力がありました。例のアイテム〈天国の鍵〉がありますからね。ローマの司教は教皇となり、カトリック教会の指導者になりました。

〈司祭〉
司教の協力者が司祭です。司教から叙階され、司祭になります。叙階は七つある秘跡(サクラメント)の一つで、聖職者として任命することです。

カトリック教会の七つの秘跡
・洗礼
・堅信
・聖体
・ゆるし
・病者の塗油
・叙階
・結婚

七つの秘跡については後述します。

司祭には、修道会司祭と教区司祭の二種類があります。

修道会司祭は、修道会の使命(ミッション)を遂行します。イエズス会の他、ドミニコ会やフランシスコ会も修道会です。

教区司祭は、街の電気屋さんのようなものです。それぞれの教区の小教区である教会で働きますからかなり身近です。クリント・イーストウッド監督の『グラン・トリノ』の童貞ヤノヴィッチ神父は教区司祭です。

カトリック教会では男性だけが、司祭になれます。ちなみに、童貞は「童貞マリア」“The Virgin Mary”など女性にも使います。英語では男女ともヴァージンです。なお、アメリカ合衆国のヴァージニア州は、生涯独身でスペイン無敵艦隊に勝ったエリザベス一世に因みます。

〈助祭〉
司祭になる前の一年間ぐらいは、助祭です。

他に司祭にならない終身助祭があります。終身助祭は結婚できます。終身助祭以外の聖職者はすべて生涯独身であることを誓います。神にその身を捧げる訳です。

カトリック教会の司祭を中国と対比するなら、宦官でしょうか。話が長くなりますから、後述します。

見習いの助祭ですが、七つの秘跡のうち、洗礼だけは授けることができます。

【神父】
神父の正式な役職は司祭“Priest”です。司祭の敬称が神父“Father”です。

キリスト教は生活に密着していますから、信者のそばにいつも聖職者がいます。ローマ教皇に会うことは滅多にありませんが、神父はどこにでもいます。とはいえ、ウィリアム・フリードキン監督の映画『エクソシスト』のようにしょっちゅう悪魔を退治している訳ではありません。カトリック教会のエクソシスムについては別の機会にしましょう。

司祭である神父は、黒い服を着ています。キャソックあるいはフランス語でスータンと言います。ローマ教皇は白です。

身近な神父ですが、社会的な立場はかなり上です。尊敬される仕事「聖職」です。フランスのスタンダールの小説に『赤と黒』がありますが、赤は軍人で、黒が聖職者を意味する色です。

『赤と黒』の出版は1830年で、ちょうどフランス7月革命がありました。ウジェーヌ・ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』が有名です。フランスの国旗を右の手に、銃剣つきマスケット銃を左手にするおっぱい女性マリアンヌが先導する絵です。マリアンヌはフランス共和国を擬人化させた女性像――「自由の女神」です。

市井でなくとも例外はなく、軍隊にも従軍神父とか実際にいます。従軍神父は衛生兵(医療関係の軍人)と同じく、攻撃してはいけないことになっています。

【「沈黙」という話/「東アジアの思想」という話】リスト(16+36+号外1)

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