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『清二』シナリオ-01

『清二』シナリオ-01
“SEIJI”

【清二】リスト
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《『清二』シナリオ-01》
○場所→移動場所―《季節(日付)》《時間》《天候》(以下季節は春で固定、昼と晴の場合は省略)
   ト書きは、カット別に改行。アングルは#で指定。音響はBGMで表記。

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○神戸市中央区―《春》《夜明け→朝》《雨》
   雨の神戸市。雨音が強くなる。#俯瞰アングル
   空を見上げていた白い服の少女(17)がうつむく。#ローアングル
   雨宿りする少女の前を何人も行き過ぎるが、目をあわせない。#望遠
   アスコットを運転していた村田清二(38)が少女を見る。ワイパーが動く。#車の車内から
   車を止め、レインコートの清二が助手席のビニール傘とオレンジのバスタオルを手にする。
   清二が、少女に傘とタオルを手渡す。身長差から見上げる少女が目を開く。
   首をふる少女だが、清二が渡して車で消える。やや眉をひそめる少女が微笑み、うつむく。

 

○タイトル
清二
   F/I, F/O
歳月不待人
——陶淵明「雑詩」
   F/I, F/O
“Time and tide wait for no man”
歳月人を待たず
   F/I, F/O

 

○ビルディング→秋詠の事務所―《朝》《雨》
   古いビルの潜戸から清二が入ってくる。レインコートをぬぎ雨をおとしてたたみ、ジャケットのポケットからゴミ袋2パックをだして小脇にかかえると、ダークスーツのネクタイをただすと、笑顔でキーを回しながら階段をのぼる。
   四階の秋詠の事務所のドアを四回ノックして入る。
清二「おはようございます」
   ライトグレーのスーツ姿の長藻秋詠(39)がソファーで眠っている。
   テーブルにヱビスビールの空き缶が6缶。他の6缶と破れた板紙2枚が床に散乱している。
   床にあった空き缶を、素足にフェラガモのハイヒールが空き缶を蹴ってしまう。
   シャワーから出た全裸のミスティ(23)が清二を無視してショートカットの髪にオレンジのバスタオルを巻く。※少女に渡したものと同じ製品で、秋詠の事務所の備品。
   左の二の腕の内側に小さい龍(ドラゴン)の赤いタトゥーがある。※ピルを埋めているキズを隠している=烙印(ブランド)。
清二「長藻さん?」
   首をかしいだ清二が、ソファーの秋詠の肩をゆらす。
秋詠「おはよう……村田さん……」
   秋詠がゆっくり目をあけてまた閉じようとしてまばたく。ミスティがブラジャーをつける。
清二「おはようございます。——こちらの方は?」
   ゴミ袋をテーブルにおいた清二が、ガーターベルトをつけるミスティを見ずに聞く。
秋詠「ああ、気にしなくていい」
   秋詠がソファーに座りなおした。頭に指をやって、顔をしかめ片目をつむる。
秋詠「——頼む」
   ダークパープルのワンピースの背をあけたミスティが立っている。
清二「……はい」
   清二が左手でファスナーの下止をつかみながら、右手でスライダーをあげて、両手でスプリングホックをとめる。
   清二の両手がはなれると、ミスティが歩き出す。
秋詠「ありがとう。——じゃあな。ミスティ」
   ミスティは振り返らず、手をひらひらして返し、その手でドアを開け閉めして去る。
清二「ミスティ?」
   清二がタオルを洗濯カゴに入れる。
秋詠「ジャズのスタンダード・ナンバーにある。作曲はエロル・ガーナー」
清二「EG……エスコートガール?」
   清二がゴミ袋をひろげて、缶を入れていく。
秋詠「世界最古の職業の女性がたまたま雨宿りをしていただけだよ」
清二「瑛子さんにもそう言うんですか?」
   清二がゴミ袋をしめながら振り返る。
秋詠「勘弁してくれ」
   秋詠の携帯電話に〈Eiko,_Madam〉から着信。
字幕「〈瑛子〉着信」
秋詠「説曹操曹操就到」
字幕「説曹操曹操就到(噂をすれば影がさす)」
秋詠「どうぞ」
   秋詠が左手でスマートフォンを操作しつつ、右手の電話を右耳によせた。
   (清二がゴミ袋を台所におく。予備を引出にいれる。)←撮影しない。
瑛子『夜何がいい?』
秋詠「八宝菜」
   スマートフォンに〈Akira-Nimune,_Madam〉からメッセージ履歴。
字幕「〈翠(アキラ)〉メッセージ」
瑛子『ふう……野菜高いのよね』
秋詠「知ってる」
瑛子『……帰る前に電話して。じゃあね』
秋詠「See ya.」
字幕「またね」
   携帯電話を閉じて、スマートフォンを操作した。
秋詠「……翠(あきら)さんから連絡があって人を探してほしいそうだ」
清二「マシミヤ商会の件はどうなりました?」
   秋詠が両目をつむって首をうしろにした。
秋詠「そっちもあったか……レイさんの件を優先しよう。翠さんには……夜店に行こうかしら」
清二「瑛子さん……」
秋詠「千客万来。いつもこうだといいんだが」
清二「私は今からLVMに行ってきます」
秋詠「陸(くが)さんによろしく言っておいて」
   秋詠が内ポケットからIDを出す。
清二「長藻さん、たぶん会わないです。陸さんは神戸支社システム管理課で、私は神戸研究所管理課ですから。丘と海です」
   清二がスマートフォンで名称を確認しながら言う。
秋詠「たぶん連絡しなければいけなくなるだろうから」
   秋詠がIDを清二に見せてから、テーブルにおく。
清二「何です? 例の〈セイレーン〉ですか?」
秋詠「いや、違うよ。……はい、ID。しかし、ハンサムだな。村田清二さん」
清二「終わったら連絡いれます。17時予定です」
   IDを手に取った清二が確認してから、時間をつげる。
秋詠「開闢(かいびゃく)」